小さいころ、手塚治虫の漫画ジャングル大帝レオが好きでアフリカ大陸に興味をもって、そこから遠い国に思いをはせるようになりました。8歳ぐらいの時に家族で初めての海外旅行に行ってニューヨークの国連本部を訪問したのがきっかけになり、世界の問題を解決に向けて取り組み話し合う場があることを知り、世界にかかわる問題に興味を持ちました。そのころから、NHKで放送されるアパルトヘイトや湾岸戦争、ユーゴスラビア紛争などのドキュメンタリーをよく見るようになりました。
様々な問題に対して議論の場所を用意する、しようと努力する国連で、時として批判の対象や攻撃の対象ともなる当事者としてかかわりたいと思うからです。
国際機関で働くためには職務経験が最低2年必要です、そのため省庁、JICA(青年海外協力隊)などで経験を積んで国連で採用されました。ここまで国連にこだわる理由は、PKOで武装勢力が村を襲撃した情報や大統領選挙での武装勢力の暴力を国籍や文化、言語も異なる同僚と一緒に情報収集し、分析レポートを書くなど、国連の掲げるマンデート実現のために一丸となって取り組む職場に魅力を感じているからかもしれません。
紛争研究をすると弱者の大半は女性で、実際、PKOで赴任した中央アフリカ共和国でも同じ状況でした。国連、なかでもジェンダーにかかわる機関につくことで、弱者となってしまう女性、男性、トランスジェンダーの方々の支援や彼女や彼らと関わることで生活をよりよくしたい、させていただきたいと、おもい希望しました。
応募資格を満たして応募をしましたが、合格するまでに5年かかりました。外務省が主催するセミナーや説明会に参加して情報収集をすること。合格したJPO先輩、後輩に連絡を取り、書類の書き方を学ぶこと。書類はプロに見てもらって添削を完璧にすること、以上を心がけました。
2023年 バングラデシュ ロヒンギャ難民の移住先となるバサンチャール(島)へ出張 同僚とこれから海軍の船に乗り込む前に
ひとりで抱え込まない、新しいプロジェクトでも同じようなプロジェクトを見つけてやり方をまねる わからないことは聞く、聞いたほうが早い、同時に共有フォルダに入っている部署の方向性に関する文書やパワーポイントを読んでおく
常に、これをやっておけばよかった、、、と思っていますが、勤務中でも挽回は可能です、ただし、仕事があるので時間に余裕のある赴任前にいろいろしたほうがいいと思います。赴任前に私がして今も役に立っていると思うのは、、、、
―同時JPOのメーリスやフェイスブックページに入っておく、いろんな情報がとれます
―赴任する国連機関の駐日事務所を訪問する
―派遣される国連機関の先輩JPOを調べて面談をお願いする
―派遣されている先輩JPOを調べて生活面から仕事などについて面談をお願いする
国連へ応募する時は新卒では採用されません。またJPOでも最低2年間の関連する職務経験が応募条件です。大学院で修士を取った後、外務省ではアフリカでの経済協力にかかわることができ、現在JPOとしてバングラディシュで案件を扱う際に、その時の経験が役に立っていると実感します。JPOとして働くとドナーとの関係構築が重要であり、国連で働く前にドナーであり外交や経済協力(ドナーとして国家戦略と関連してどこにお金を拠出するか)を扱う外務省の経験は、国連の立場に立っていざドナーと関係を作っていく必要がある現在、非常に役に立っています。また、経済協力の一部に位置づけられる青年海外協力隊の経験も、草の根で援助を学ぶ格好の機会だと思います(語学も徹底的にできます)。
2018-21年 中央アフリカ共和国PKO 政務官(国連ボランティア)として住民に対して締結された和平合意についてのアウトリーチミッション実施
2018-21年 中央アフリカ共和国PKO 政務官(国連ボランティア)として武装勢力と会議をするための出張での道中
人に会う、買い物する、仕事とは別の趣味の場所をもつ
土日は好きなことに時間を使う。仕事のことは1ミリも考えない!
フランス語C1獲得!
中央アフリカPKOで東部事務所に勤務中、夕食時に銃撃戦が始まって、事務所のみんなで対応にあたったこと。防空壕に逃げながら無線で県知事や首都の本部に情勢を伝えた。初めて、銃で狙われる体験を実際して驚いた、怖かった。
PKOの場合、事前にSOP(国連のマニュアル)を読んで、どう対応すればよいかシミュレーションをしておく。それでもうまく想像できない場合は上司や同僚に聞いたりする。卓上訓練を提案して事務所全体でシミレーションをする。
プログラムの場合、今直面する問題は同僚や上司も過去直面した問題なので、自分で抱え込まないで聞く。
英国大学院留学で英語はある程度伸ばせました。フランス語は青年海外協力隊でカメルーンに派遣されたことで少し使えるようになりました。協力隊で現地語ではなく、フランス語がたくさん使用される任地(カメルーン!)を選ぶのはおすすめです。
小学生のころから国連で働きたいと思っていましたが、高校留学、英会話など国連で役立つことを本格的に学べる機会を得られたのは大学に進学してからでした。大学では、まずはずっと学びたかったグローバルな問題を取り扱う授業を片っ端からとり、英語は集中コースを取りました。学校にあった語学センターで教材を借りて毎日4時間かかる通学で英語を聞いたり課題をやったりしました。大学3年時からは国連本部の会議に出席したり、WFP日本協会でインターンをしたり、NGOでボランティアをしたりしました。 一つ目の大学院(東京)では、英国大学院留学を目指していたので、奨学金獲得準備、国連大学と提携した授業の履修、セミナーに出席して国連職員やグローバルイシューに最前線でかかわる方々と交流することでネットワークを広げること、どのような経験を積まれててきたか質問し、情報収集に努めました。 2つ目の大学院(英国)は結局、奨学金が獲得できず、自費の留学になったため、国連でインターンをすること、アフリカでフィールドワークをすることを、そうしないと奨学金を獲得した学生と差別化できない、と思い、2つを目標にして取り組みました。
英国大学院(ブラッドフォード大学)で当時PKOが派遣されていたリベリアに授業の一環で訪問できたこと。とにかく、学生の間に安全に途上国に行きたい、特にアフリカに行きたいと思っていたのでこの大学院コースは有難かったです。
また、修士課程在学中に、大学院の奨学金を少しいただいて南スーダンPKOでフィールドワークができたこと。
修士課程が応募要件である国連のインターンに採用され、UN Women ニューヨーク本部で働く経験をいただいたこと。
2015-17年 青年海外協力隊(カメルーン コミュニティ開発 水の防衛隊)村で水源を管理する人に井戸の様子を聞き取り調査
UN Women ニューヨーク本部 3か月 (英国修士課程在学中)
30件ぐらい国連がHPで募集しているインターンに応募。応募する際は大学院のキャリアサポートユニットでCVやレジュメの書き方を学び、添削を依頼。
WFP日本協会 横浜 3か月 (大学在学中)
所属していた大学が提携をしていて毎年インターン生を募集していました。広報や資金調達を主にする日本協会で働くことでWFPの活動をわかりやすく小学生や、街頭の人へ説明する経験を得ました。また、隣接するWFP 国連世界食糧計画日本事務所の会議に参加させていただき、どうように業務を回しているのかを垣間見ることができました。
英国のブラッドフォード大学院(MA in Conflict, Security and Development)
学費や期間1年で修士をとれるので
当時はアフリカの紛争、平和構築、女性に興味があり、それを十分学べるカリキュラムがあったので。
田舎で生活費が安いのも魅力的。首都ロンドンまでは新幹線で5時間ほど。日帰りも可能。
奨学金は全滅。2年外務省で働いて少し貯金、あとは両親に頼み込みました。
2022年 バングラディシュ北西部の島に位置する村を出張で訪問 UNFPAが支援するWFS(Women Friendly Space: 女性のための安全スペース)を訪問
常に転職活動をすることが生活の一部にしたほうが良いと思います。国連の先輩も日常業務の20%は就活や能力強化に充てなさいとアドバイスをいただき、実行しています。実際、UNFPA内の評価でも、能力強化すべき分野を書きだし、対面、オンライントレーニングを受講することが評価の一つに組み込まれています。
常に空席ポストを確認して応募書類を作成しています。
空席に自分で応募するので、応募する時点でどこで、何をするのか開発分野でもどんな事柄を扱うのかわかるので、自分の専門性や得意分野で職務経験を積むことができると思います。注意点は自分の得意分野の職種のポストが常に空席がかかっているとは限らないので、日々の情報収集が重要だと思います。
中央アフリカ共和国PKO(MINUSCA)で政務官のオファーをいただいたときは、大学生から興味のあった平和構築の分野での仕事でとてもうれしかったです。同時に危険地勤務の地方事務所での業務なので安全には非常に不安がありましたが、シンプルに考えた時に、不謹慎ですが、どうしても武装勢力を見てみたい、紛争がどんなものなのか見て、国連がどうかかわっているのか、そしてその一部になりたいと思いがあったため、参加しました。実際、赴任すると安全管理トレーニングや安全対策を行っているので、毎日危険を感じることはなかったです。
これは私も未知の分野なので、日々、現在所属するUNFPAや外務省や国連フォーラム、様々な機関が主催するワークライフバランスや働く女性についてのセミナーには積極的にでて情報収集をしています。
終身雇用から遠ざかっているので、自分の仕事の安全(job security)のため、常にいろんな分野にアンテナを張るようにしています。業務も大きな流れでやはり環境への関心が高く、また新しい技術を使った援助支援(スマフォを活用したオンラインキャッシングによる災害支援金の配布)などがあり、内部のオンラインコースもあるので、日々勉強して様々な選択肢を持てるように心がけています。
意識して休みを取る(6か月をめどに最低1週間の休みを取る)、またサプリでも処方箋薬でも自分の体が楽になるものがあれば遠慮せず、積極的に取り入れてストレスをためないようにしています。実際、国連の保険で十分賄えますので、使える制度はフルに活用してストレス軽減に努めています。なれない赴任の当初は一人暮らしではなくシェアアパートに暮らして家のトラブルを一人で対処しないでいい環境にいることも大切です。
私は10代のころから国連職員になりたいと思っていましたが、29歳のころやっと大学院留学できました。奨学金はすべて落ちました。もしもう一度やり直せるのなら、交換留学、短期語学留学でもよいので高校や大学で海外で生活し学び、語学を磨き、語学試験の点数を上げて、奨学金で大学院を学べるようにします。早い段階で語学をクリアしておくと後々楽です。
2022年 現在JPOとして派遣されているUNFPAバングラディシュ事務所での集合写真 新代表クリスティン(画面中央 ノルウェー人)が到着した時(新代表の左手に当時副代表、現UNFPA駐日事務所の成田詠子)
私は地方出身で周りには国連駐日事務所も、NGOもない環境で10代を過ごしました。小学生高学年の時に、電話で日本ユニセフ協会に電話して、スタッフの方にどうしたら国連職員になれるか電話で聞きました。その方は丁寧に何か一つ専門を持つこと、そのためには大学院に行く必要があり、語学も重要だと説明しました。また、最後にずっと今と同じ気持ちを持ち続けてくださいと言いました。何年もJPOに落ち続けた時、国連のポストが取れない時、この言葉に支えられました。