外務省国際機関人事センター Newsletter
第11弾
小池絵未の国際機関探訪

小池絵未の国際機関探訪 景山健さんインタビュー

Official Character, JINSE-kun, Frame 景山健 さん

国連児童基金 (UNICEF)

財務管理局予算セクション

予算担当官

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  • ◆今回訪問した国際機関
  • 国際児童基金
  • ▼ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)は、すべての子どもの命と権利を守るため、 最も支援の届きにくい子どもたちを最優先に、190の国と地域で活動しています。
  • ▼保健、栄養、水と衛生、教育、暴力や搾取からの保護、HIV/エイズ、緊急支援、 アドボカシーなどの支援活動を実施し、その活動資金は、すべて個人や企業・団 体・各国政府からの募金や任意拠出金でまかなわれています。
1.いつ頃、国際機関で働こうと思いましたか?

大学生の時に国際機関に興味を持ちました。私は、高校まで野球中心の生活を送っていたので、自分のキャリアについて考え始めたのが大学に進学してからでした。

その当時、元国連難民高等弁務官・緒方貞子さんのドキュメンタリーで、クルド難民危機やバルカン紛争などで苦しんでいる人々の姿を見て、人の命を支える仕事をしたいと思うようになりました。

また、この頃に大学の教授からJPO派遣制度があるということを教えてもらい、興味があった財務・会計を専門分野にすることを決めました。

2.どのような学歴をお持ちですか?

2007年に杏林大学外国語学部を卒業しました。その後、2009年に米国のカリフォルニア州にあるMonterey Institute ofInternational StudiesでMBA(経営学修士)を取得しました。

国際関係に力を入れている大学院で、人道支援の現場で卒業生や同級生とよく会います。大学院では財務を専攻し、合間を縫って会計の勉強をしていました。卒業後に米国公認会計士に合格、ライセンスを取得しました。

3.国際機関に入る前はどのようなお仕事をしてきたのですか?

日本でIT系の民間企業の財務部門に2年、NGOに4年半、国連ボランティア(UNV)として国連難民高等弁務官(UNHCR)に1年勤めました。大学院卒業後に働いた企業では、売掛金の管理を始め一般的な財務業務を経験しました。

NGOでは緊急人道支援に携わり、南スーダン共和国に駐在。紛争から逃れてくる避難民のために仮設シェルター設営と生活物資の配布、帰還民への水衛生支援、オフィスの財務管理を行っていました。現場で緊急支援物資を運んでいた時のこと、避難民の女性が次々に集まり、「本当に有難う」と救われたような表情でお礼を伝えてくれることがありました。

当時、私はどう返答して良いのかわからず戸惑っていたのですが、この言葉が今でも忘れられず心の支えになっています。

その後、NGOの東京勤務に戻り、シリア、イラク及びその周辺国であるトルコ、レバノン、ヨルダンなどへの人道支援に関する助成を行っておりました。UNHCRでは、タジキスタンに駐在し、隣国のアフガニスタン出身の難民への支援を経験しました。

国連ビルをバックに。(画像)
国連ビルをバックに。
4.どのような方法で国際機関に入りましたか?

2013年にUNHCRタジキスタン事務所で、UNVとして働き始めました。 外務省の委託事業で一般社団法人・広島平和構築人材育成センターが実施している旧平和構築人材育成事業の一環として派遣されていました。

その後、以前から応募していた外務省のJPO派遣候補者選考試験に合格し、2017年からUNICEF本部の財務管理局予算セクションに勤務しています。

28歳から受験を始めて、4回目で合格しました。JPO試験を検討している方からアドバイスを求められた際は、「受験資格を満たしているのであれば積極的に応募しつつ経験やスキルを取得していくといいですよ」とお伝えしています。

オフィスにて。(画像)
オフィスにて。
5.現在の仕事について詳しく教えてください。

2017年からニューヨークに来て、UNICEF本部の財務管理局予算セクションで勤務しています。 UNICEFの活動資金は任意拠出金で成り立っており、通常予算(Regular Resources)と特定の目的のため使途を指定されたその他の予算(OtherResources)の二つに分かれます。

私は、この予算の管理が主な業務で、その中でも7% SetasideやGlobal Thematic Fundsなどの予算を日常的に取り扱っています。また、UNICEFの予算規定及び手順書の更新、作成も業務の一つです。迅速な予算発行、効率的で効果的なプロセスを目指し、ユニセフの各国オフィスをサポートできればと考えています。

私のセクションは多様な国籍で構成されています。西・東欧州、南・東南アジア、北米出身の職員では、それぞれコミュニケーションの仕方が異なり、同じメッセージを伝えるにも選ぶ言葉が全く違うのです。

そんな中、一人一人がその違いを認め、尊重し、一致団結して世界の子ども達のために働いています。素晴らしい上司、同僚にも恵まれ、やりがいのある仕事だと感謝しながら日々業務にあたっています。

6.今後のキャリアについてどのようにお考えですか?

私には1歳半の娘と今月産まれた息子がいます。UNICEFには合計8週間の育児休暇があり(2018年1月時点)、上司と同僚が協力的なことから、現在は休暇を取得して子どもの世話をしています。

今後も、子ども達の成長を見守りながら、人道支援を続けたいと思います。 特に、私の専門分野である財務・会計関連の職種でキャリアを積み重ねていくことができたらと考えています。

7.国際機関を目指している方にメッセージをお願いします。

人生は長いようで短いように思います。もし、国際機関に少しでも興味があれば、もしくは学生時代に関心があったようなら、一度国際機関で働いてみませんか?国際機関では、財務、経理、総務、人事、企画、ロジ、IT、広報など民間企業の経験やスキルが重宝される職種も多いと思います。

外務省国際機関人事センターのメール配信サービスで送られてくる空席ポストの情報や、国連職員NOW!のサイトで求められる職務経験、スキル、資格を定期的にチェックすると何が求められているか理解できてくると思います。

学生へのメッセージは、国際機関は3つの要件(語学力、関連分野での修士号と2年以上の職務経験)を求めることが多いので、早いタイミングで自分の分野を検討し、決めることをお勧めしています。

8.今回の取材を振り返って感じたこと。

景山さんも私も高校でスポーツの部活に入っていたので、その経験から共感できる部分がとても多かった取材でした。景山さんは、大学時代に国連のどの職種に就こうかと考えた時、国連の様々なインタビュー記事を読んで財務という道があること知ったそうです。

その後、大学の先生から、国連で働くには自分の専門性を明確にし、それに関連する修士号を取得しないと採用されないと言われたことをきっかけに、目標を達成するため、逆算して計画を立てたそうです。

実は、計画を立てるという意味では、野球をやっていたことがとても活かされているそうです。 「最初に甲子園に行くとか、優勝するとかは、逆算してステップをつくっていくじゃないですか。それがちょうどJPOに挑戦する過程と似ている気がします!」と話してくださいました。

私もNFLでチアリーダーになりたいと思った時に、逆算して考え、まず最初に米国の大学のダンスチームに入ろうと思い、夢を叶えることができました。 また、景山さんは4回もJPOにチャレンジしていて、凄いと思いました。諦めずに続ければ、夢は叶えられるということをよく表していると思います。JPOを希望している人はできるだけ早く挑戦した方が時間を有効に使えて良いそうです。

最後にもう一つ共感できたことは、野球部時代に培ったチームワークの中でのコミュニケーションが今とても役に立っていると話してくれたことです同じ部門で働く様々な人種の仲間とどうやってチームワークを持ちながらチーム一丸で働いていくかということに、その経験はとても活きているそうです。

努力することが苦にならなくなったことも、スポーツをやっていてすごく感謝していることだと語ってくれました。皆さんも、たくさんのことに挑戦する中で、目標から逆算した計画をたて、良いチームワークが持てる環境で働けるよう、ぜひJPOにチャレンジして欲しいと思います。

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「小池絵未のNY発国際機関探訪」VOL.11

出演:景山健

国際児童基金(ユニセフ) 財務管理局予算セクション 予算管理

取材地:ニューヨーク

2018年3月30日更新