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ルワンダ国際刑事裁判所
(International Criminal Tribunal for Rwanda (ICTR))


1.設立根拠

 安保理決議955(1994年11月8日採択(賛成13、反対1(ルワンダ)、棄権1(中))による。同決議は、国連憲章第7章下で、ルワンダ国際刑事裁判所の設立を決定。決議の付属書として同裁判所規程を採択。
 裁判所規定は、安保理決議1165(1998年4月30日採択:第一審裁判部に第三法廷を設置)、同1329(2000年11月30日採択:第一審裁判部判事2名追加)、同1431(2002年8月14日採択:訴訟裁判官(ad litem judge)18名の登録制度の設置)、同1512(2003年10月27日:訴訟裁判官の追加)同1684(2006年6月13日:常任裁判官の任期延長)及び同1717(2006年10月13日:訴訟裁判官の任期延長)により一部修正された。(いずれの決議も全会一致)
   

2.設立の背景

   ルワンダにおいて1994年4月のハビヤリマナ大統領の死亡を契機に再発した内戦において国民の大量殺害が発生した。これに対し、同年7月1日、安保理は、国際人道法の重大な違反を調査するための専門家委員会を設置(安保理決議935)。同委員会はその中間報告(同年9月29日付)において、ルワンダにおいて国際人道法の重大な違反(注)が行われたと報告、右違反について責任を有する者が独立の国際法廷で裁かれるべきであることを勧告した。右勧告を受け、安保理は、ルワンダ国際刑事裁判所の設立を決定した(安保理決議955)。

(注)裁判所規程第2条、3条、4条に規定。集団殺害、殺人や拷問等の人道に対する罪並びにジュネーブ諸条約に共通する第3条及び第二追加議定書の違反。

3.概要

(1)所在地、職員数、予算
  (1)所在地 : 第一審裁判部:アルーシャ(タンザニア)
上訴審:ハーグ(オランダ)
検察局:キガリ(ルワンダ)
  (2)職員規模 : 1,042ポスト
  (3)予算   : 269,758,400ドル(2006-2007年)
(2)裁判所の権限(裁判所規程第1〜9条)

 1994年1月1日から同年12月31日までの間に、ルワンダ領域内において国際人道法上重大な違反を侵した者及びルワンダ隣国において国際人道法違反行為を行ったルワンダ人をルワンダ国際刑事裁判所規程に従って訴追する権限を有する。具体的には、(イ)ジュネーブ諸条約のそれぞれに共通する第3条及び追加議定書Uに対するもの、(ロ)集団殺害、(ハ)人道に対する犯罪、とされる。訴追対象は自然人であり、犯罪の実行者に加え、実行を命じた者、扇動した者等も訴追される。国内裁判所との関係では、ICTRが優越する管轄権を有する。

 
(3)裁判所の構成
 (イ) 4法廷(第一審裁判部3法廷及び控訴裁判部1法廷)
国際判事(25名(常任裁判官16名、訴訟裁判官9名))は、国連総会により選出され、裁判部に配属される。
(a)
第一審裁判部(3法廷、18裁判官(常任9、訴訟9))
 
(b)
控訴裁判部(1法廷、7裁判官(規程第11条(安保理決議1329)により改訂))
(注)設立当時、法廷数は2、判事総数は6名であったが、安保理決議1165(1998年)により第3法廷が、2005年3月に英・諾の協力により第4法廷が開廷した。
第一審裁判部の裁判官の出身国:
第一法廷:
ノルウェー(第一法廷裁判長)、フィジー、露
第二法廷:
タンザニア(第二法廷裁判長)、マダガスカル、スリランカ
第三法廷:
パキスタン(第三法廷裁判長)、アルゼンチン、セントクリストファー・ネーヴィス
      控訴裁判部の裁判官の出身国:
        伊、ガイアナ、トルコ、中国、セネガル、米、独
  訴訟裁判官の出身国:
  トルコ、カメルーン、ウガンダ、チェコ、ヨルダン、スウェーデン、デンマーク、ブルキナファソ、イタリア、英国、タンザニア、マレーシア、ケニア、韓国、マダガスカル、ガーナ、蘭、パナマ
 (ロ)検察局
 (ハ)書記局

(4)裁判官の資格と選出方法(裁判所規程第12条)(安保理決議1165及び同1684により改訂)
(イ)
国連事務総長(SG)が各加盟国及び常駐オブザーバーに対し、候補者リストの提出を要請。
(ロ)
SGは、加盟国より提出されたリストを安保理に提出し、安保理は協議の上、候補者リストを決定し、総会に送付。総会は、右リストに基づき、選挙を実施。なお、同一国から2名の判事を選出してはならない。

(5)裁判官の任期、再選
 (イ)任期:4年
 (ロ)再選可能。
(注)裁判官選挙は2006年末に実施される予定であったが、完了戦略の遂行を確保する観点から、常任裁判官11名及び訴訟裁判官18名(出身国は下記参照)の任期を2008年12月31日まで延長することで対応した(安保理決議1684(2006年6月13日)及び安保理決議第1717号(2006年10月13日))。

(6)活動状況(2007年2月現在)
  被起訴者数:90名
 (イ)進行中:44名
(内訳)第一審待ち9名、第一審28名、上訴審7名
 (ロ)審議終了:28名
  (内訳)有罪確定20名(うち1名は刑期確定後に死亡)、無罪放免5名、死亡2名、第一審前に国外移送1名
 (ハ)身柄確保未了:18名

(7)完了戦略
 (イ) ICTRは、当初から時限的な国際機関として設立されており、安保理決議1503(2003年8月28日)により、2004年末までにすべての捜査を終了し、2008年末までに第一審審理を終了し、2010年にすべての審理を終了するため、あらゆる可能な措置をとることを要請されている。また、安保理決議1534(2004年3月26日)により、上記完了戦略遂行のために然るべき計画及び行動をとる旨が要請されている。
 (ロ) 上記完了戦略遂行のため、ICTRには、これまでに訴訟裁判官及び職員の増加、審理担当中の訴訟裁判官の任期延長の措置が認められてきた。また、中・下級レベル事案の国内裁判所への移管、職員の配置換え、複数事件併合審理、審理プロセスの簡略化、電子システムの導入、手続き規則の改正等により効率性増大に努めている。
 (ハ) 他方、ICTRは、上訴審を2010年までに完了するには上訴審判部の裁判官の増員が必要である旨を提言している。
(了)