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国際刑事裁判所(ICC)
The International Criminal Court


1.概要

  (1) 国際刑事裁判所(ICC)は、国際社会にとって最も深刻な罪(集団殺害罪、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略の罪(注))を犯した個人を国際法に基づき訴追し、処罰するための常設の国際刑事法廷。
(注)侵略の罪の内容は、各国間で合意がなく、未定義になっている。

  (2) 2002年7月1日、60番目の国の批准書等の寄託により、国際刑事裁判所に関するローマ規程(ICC規程)が発効した。翌2003年には、裁判官、検察官、書記などの裁判所の中心的人員の選出を終え、本格的な活動を開始。2007年6月までに、コンゴ民主共和国、ウガンダ、スーダン、中央アフリカの4か国の事態につき、捜査または訴追を行っている。

2. ICC裁判官の構成(別添:2007年6月現在の裁判官の構成)

  (1) ICCは、刑事法及び刑事手続法につき知見を有し、刑事訴訟において裁判官、検察官、弁護士、あるいは類似の職責にあって、必要な経験を有している者、又は、国際人道法及び人権法といった国際法の諸分野につき知見を有し、ICCの法的業務と関連した職業的な法律職において、広範な経験を有している者、から選出された裁判官によって構成される(ICC規程36条3(b)、5)。
  (2) 裁判官の選出に際しては、その構成につき、世界の主要法体系が代表されるように考慮され、地理的配分や性別が公平に代表されるように考慮されることとされている(同36条8(a))。
  (3) 裁判官の定員は18名で、その任期は9年であり、3年毎に3分の1ずつが改選される(同36条6、9)。

3. ICC検察官の選出

 
(1)
ICC検察官は、「徳望が高く、かつ刑事事件の訴追又は裁判において高い能力と広範な実務経験を有する者」から、締約国会合の選挙によって選出される(同42条3、4)。
 
(2)
検察官の定員は1名で、その任期は選挙時により短い任期が決定される場合を除き9年であり、再選は認められない。
 
(3)
現在のICC検察官は、2003年4月に選出されたアルゼンティン出身のルイス・モレノ・オカンポ氏(任期9年)。

4.管轄権

 
(1)
事項的管轄(対象犯罪):ICCは現在、@集団殺害罪、A人道に対する罪、B戦争犯罪、の3つの犯罪について管轄権を行使できる(ICC規程第5条。C侵略の罪に関しては、今後規程の改正により犯罪の定義がなされ、裁判所の管轄権行使の条件が定められてはじめてICCの管轄権行使が認められることとなる)。
       
 
(2)
事案の付託:ICCは以下の3つの場合に検察が捜査を進めることになる。
   
(イ)
犯罪が行われたと疑われる事態が締約国によって検察官に付託された場合。
   
(ロ)
犯罪が行われたと疑われる事態が安全保障理事会によって検察官に付託された場合。
   
(ハ)
検察官が職権により捜査を開始した場合(同第13条)。
       
  (3) 管轄権の行使:ICCは、(イ)犯罪行為の実行地国又は被疑者の国籍国のいずれかが締約国であるとき、又は(ロ)いずれも非締約国である場合にはそのいずれかが管轄権行使を受諾したときに、管轄権を行使できる。但し、付託された事件に関して、国が真に被疑者を訴追する能力や意思を持たない場合等例外的な場合を除き、国内裁判所が管轄権を行使している場合には、裁判所は管轄権を行使しない(補完性の原則)。また、安保理が裁判所による捜査・訴追の停止を求めたときは、裁判所は1年間これを停止する。
       
 
(4)
締約国の協力義務:裁判所からの被疑者引渡、捜査共助要請に対して締約国は条約の規定に従い協力する義務がある。裁判の結果、有罪判決が出た場合には、犯罪人は、関係国で刑の執行を受ける。

5.我が国との関係

  (1)

我が国はこれまで、常設の国際刑事裁判所は国際社会における最も深刻な犯罪の発生を防止し、もって国際の平和と安全を維持することに資するとの観点から、ICCの設立を一貫して支持し、その実現に向けて努力してきた。

  (2) 我が国のICCへの加盟については、2007年4月に国会において、ICCローマ規程の締結が承認されるとともに、ICCへの協力を果たすために必要な事項を定めたICC協力法案が可決され、同年秋から正式にICCローマ規程の締約国となる。
  (3) 我が国がICCに加盟した後は、分担金を通じた財政面での貢献(分担率22%、2007年予算ベースでは約30億円で、最大の分担金支払国となる)のみならず、裁判官をはじめとする邦人職員を輩出する人的貢献を行い、積極的にICCの活動を支援していく。また、アジアをはじめとする締約国の増加に向けた協力を行っていく。



国際刑事裁判所裁判官の構成
(2007年6月現在)

【リストA】(刑事法及び刑事手続法に知見を有し、刑事訴訟において裁判官、検察官、弁護士、あるいは類似の職責にあって、必要な経験を有している者)
           
    氏名 国名 性別  任期
    ディアッラ(ファトゥマタ・デンベレ) マリ 女性 〜2012年
    フルフォード(エイドリアン) 英国 男性 〜2012年
    オディオ=ベニト(エリザベス) コスタリカ 女性 〜2012年
    ピキス(ゲオルギオス・M) キプロス 男性 〜2009年
    ソン(サン=ヒュン) 韓国 男性 〜2015年
    スタイナー(シルヴィア・H・デ・フィギュエイレド) ブラジル 女性 〜2012年
    トレンダフィロヴァ(エカテリーア) ブルガリア 女性 〜2015年
           
【リストB】(国際人道法及び人権法といった国際法の諸分野につき知見を有し、ICCの法的業務と関連した職業的な法律職において、広範な経験を有している者)
           
    氏名 国名 性別  任期
    ブラットマン(レネ) ボリビア 男性 〜2009年
    カウル(ハンス・ペーター) 男性 〜2015年
    キルシュ(フィリップ) ※所長 男性 〜2009年
    コウルラ(エルッキ) フィンランド 男性 〜2015年
    クエニェヒア(アクア) ガーナ 女性 〜2015年
    ピッライ(ナヴァネセム) 南アフリカ 女性 〜2009年
    ポリティ(マウロ) 男性 〜2009年
    ウサカ(アニタ) ラトビア 女性 〜2015年
 
※地域別の構成:アジア2名(韓国、キプロス)、西欧その他5名、中南米3名、アフリカ3名、東欧2名
 
※男女比:男性8名、女性7名
           
※2007年6月現在 空席3名