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世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)
The Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria


1. 目的・設立経緯

G8九州・沖縄サミットでサミット史上初めて感染症対策が重要議題の一つに取り上げられたことが契機となり、2002年1月、三大感染症の予防、治療、ケア/サポートに必要な資金支援を行うことを目的として、ジュネーブに世界基金が設立された 。
   

2. 活動実績

  (1)

世界基金は、巨額の資金を動員し拠出することにより、途上国における三大感染症による被害の緩和に貢献している。2009年2月現在、世界基金は累計で140か国の740案件に151億ドルの資金支援を承認済み。

     
  (2)

三大感染症対策のための国際的な支援のうち、世界基金の支援額は、エイズが4分の1、結核及びマラリアがそれぞれ3分の2を占めている。疾病別には世界基金の支援の約6割がエイズに充てられ、地域別には約6割がサブサハラ・アフリカ向け。

     
 

(3)

世界基金は、政府組織や国際機関のみならず、民間財団や民間企業、NGOや感染者代表が関与する官民のパートナーシップに基づいて運営され、支援を実施している。

   

3. 主な組織

(1)

理事会:最高意思決定機関であり、24の議席がある(2009年2月現在)。

ドナー側10議席(我が国を含むドナー国8議席、民間財団1議席、民間セクター1議席)

受益国側10議席(受益国7議席、先進国NGO1議席、途上国NGO1議席、感染者団体代表1議席)

 

投票権のない議席4(WHO、UNAIDS、世銀(管財人)、スイス政府)

(2) 委員会:各分野で理事会からの受託事項を処理し、理事会で承認を得るための決議案を作成。政策・戦略委員会、財政・監査委員会、ポートフォリオ委員会、倫理委員会がある。
   
(3)

事務局

世界基金は、スイス国内法に基づく独立の民間財団として設立され、事務局をジュネーブに置く。事務局長はミシェル・カザチュキン (Michel Kazatchkine) 氏(フランス)(2007年4月就任)。

       
  (4)

技術審査パネル(TRP: Technical Review Panel )

 

途上国が提出する支援申請書を技術的に評価する専門家の審査パネルであり、各申請案件をランク付けし、承認の可否を理事会に提案する。

     
  (5) 技術評価レファレンス・グループ(TERG: Technical Evaluation Reference Group )
 

理事会の指示に基づき、世界基金の制度や実績を客観的に評価する専門家グループ。

4. 世界基金の人事制度

(1)

組織としての独立

2002年にスイスの国内法に基づく民間財団としてジュネーブに設立されて以来、WHO事務局のパートナー機関として、実体上はWHOの官房行政サービスの下で運営されてきたが、2009年1月1日以降、世界基金は独立した機関としてWHOの官房行政サービスから離脱した。これに伴い、世界基金事務局は、国連システムによらない独自の人事制度を設けている。
世界基金事務局は、スイス政府との間で設立協定を交換しているため、スイス国内においては他の国際機関と同様に特権免除を享受する。

   
  (2)

契約形態

    世界基金では、継続契約( contract of continuing duration )及び任期付契約( contract of defined duration )という2種類の契約形態を用いており、時限的に設置されたポスト以外のポストには、継続契約が適用される。継続契約の契約期間は2年以上とされており、原則3ヶ月間の仮契約期間( probation period )を経て正式採用となる。
     
(3)

給与制度

上記の制度変更に伴い、世界基金は、国連共通システムのような専門職・一般職の区分を止め、新たに10グレード構成のポスト格付制度に改める等の簡素合理化を図っている(グレード1〜2は一般職、グレード3〜5は専門職、グレード6〜7は管理職、グレード8〜10は幹部職に相当。それぞれのポストの格付けは、職務評価に応じて行われる)。このほか、外国人手当や子女教育手当等の補填制度が設けられている。
     
UN Grade
Global Fund
G3
-
G4
1
G5
2
G6/P1
2
G7/P2
3
P3
4
P4
5
P5
6
D1/P6
7
D2
8
ASG
9
USG
10
       
  (4)

年金制度

   

世界基金の職員は、採用と同時に、国連合同職員年金基金(UNJSPF)の制度に準じて設けられた世界基金年金基金 (Provident Fund) に加入することとなる。掛金はスイスフラン建てで積み立てられ、加入者は、各人の標準報酬の7.9%、事業者(世界基金)はその15.8%を負担する。加入者は、退職時に積み立て分に利息を加えた額を受け取ることができる。

       
  (5)

健康保険および外国人制度

   

健康保険制度は、民間の健康保険会社に委託している。

   

日本人の場合、勤続10年まで外国人制度が適用され、外国勤務手当が支給され、帰国休暇を取得できる。

       
  (6) 採用情報
 

世界基金の職員採用情報は、世界基金ウェブサイト( http://www.theglobalfund.org/en/employment )に掲載され、オンライン登録および応募が可能。

5. 支援の流れ

各受益国ごとに設置される国別調整メカニズム( CCM : Country Coordinating Mechanism )により案件が形成され、世界基金事務局に申請される。 CCM は、政府機関、 NGO 、民間セクター、二国間・多国間援助機関等で構成されている。

       
 

事務局に提出された案件申請書は、技術審査パネルにおいて審査される。同審査を通過した案件のみが事務局を経由して理事会に勧告され、理事会で承認された案件に資金が供与される。

     

世界基金の支援案件は、2年が経過する時点で3年目以降の支援の可否を審査される。5年目の時点で優良案件と認められ申請書が承認されれば、6年目以降さらに3年間(その後再延長すれば更に3年間)の追加資金供与を受けることができる。

6. 我が国の協力(2009年2月現在)

(1)

わが国は世界基金の設立に先導的な役割を果たし、設立後は理事会メンバーとして世界基金の運営・管理に重要な役割を果たしている。我が国は米、伊とともに理事会で単独で1議席ずつを持ち、政策戦略委員会と財政監査委員会のメンバー国でもある。また、日本のNGO (Project Ring) が世界基金理事会の先進国NGOグループの一員として参加している。

   
  (2)

2002年以降、我が国はこれまでに8.5億ドルを世界基金に拠出しており、累積で米、仏、伊に次いで4位。2008年5月末には、福田総理(当時)が2009年以降当面5.6億ドルを拠出すると表明した。

       
  (3)

技術評価レファレンス・グループ(TERG)では、かつて喜多悦子日本赤十字九州国際看護大学学長が、現在は青山温子名古屋大学大学院教授がメンバーを務めている。

(4)

途上国レベルにおいては、大使館やJICAの国別調整メカニズム(CCM)等への参加等を通じて、世界基金による支援案件の実施促進のために協力している。また、日本のNGOは、実施団体(SR: Sub Recipient )として世界基金による支援案件の実施に携わっている。