| 私がUNDPの採用ミッションに出会ったのは、2001年秋の事である。それまで開発とあまり関係のない仕事をしていた私は、採用に至るまでの過程を偶然の連続であった様に感じていたが、今振り返ってみると、いくつか思い当たる点もある。
本稿が、国際機関への就職、転職を目指す方々への一助となることを願って、私の考えを素直に記したい。
1. 応募から面接まで
UNDP採用ミッションの来日については、2001年の初夏、国際機関人事センターより連絡を頂いた。開発分野に関心はあっても専門知識のない自分が採用される可能性は低いと思ったが、「経験のために」と思い、P-11に職歴等を記入して提出した。今思えば、このP-11を作成する過程が面接に非常に役立った。P-11は「履歴書」ではあるが、日本のそれよりははるかに細かな説明が求められる。自分がそれまでに何を学び、何を達成し、どの様なスキルを身に付けて来たかについて、わかりやすく一貫性のある説明も求められる。これらについてのメッセージやテーマが明確に出来ていないと、何百通ものP-11を短時間でさばかなければならない人事担当者の目に留まるのは難しい。応募するポストを研究し、どのような職歴、スキル等が求められているのかを認識し、それをどう満たしているのかを、過去を振り返りながら具体的に文書化していく作業が、面接に選ばれ、成功するために不可欠であるように思う。
時々刻々と変化する状況を理解し、多様な背景を持つ人々と上手く仕事を進めて行くためには、専門知識もさることながら、コミュニケーション、オーガニゼーション、リーダーシップ等からなる総合的なマネージメント能力が絶対的に必要である。このような観点からすれば、P-11の作成にあたって単なる職歴に留まらない個人としての総合的なスキルを見直し、明確化するのも、面接に向けての良い準備になるのではないかと思う。
2. 面接
面接の知らせが来たのは9月であったと記憶している。前述の様な理由から面接に選ばれた事自体、予想外であり、まず受からないであろうと思っていたので、当日は気負いは全くなかった。面接となるとつい気負いがちだが、結果はついて来るものとして自然体で臨むのが自分を最も良く理解してもらえる方法かもしれない。
面接官は、本部の人事部長、人事課長、日本人のUNDPのOBの計3名であった。自分が応募したポストがマネージメント分野であり、P-11から既に大体のバックグラウンドはわかっていたためか、開発に関する専門的な質問はあまりなかった。職歴や志望動機についての質問の後は、殆どが組織のマネージメントに関する考えや過去の経験についてであった。具体的には、
・組織のモチベーションを高めるためにはどうすれば良いか?
・「難しい人」が自分の組織内にいた場合、どう対応するのが良いと思うか?
・過去に自分でイニシアチブをとって組織の運営を変えた事があるか?
・組織を円滑に運営していく上で大切な事は何か?
・部下の評価にあたって大切な事は何か?
・職員を採用するとしたら重視する資質は何か?
などの質問があった。どれも日頃から折に触れて考えていたので、素直に自分の考えを述べる事が出来た。UNDPに過去に勤めた経験のない者にとっては、UNDPについて事前に調べても限度があり、自分の経験から学んだ事を基に素直に考えを述べるのが得策ではなかろうか。
(注)専門的な職種に就いている場合は、当然その分野の質問への準備も必要であろう。
他に
・英語以外の外国語について
・世界中どこでも勤務出来るか
・家族はどう考えているか
等について質問を受け、面接は終わった。一時間以上にわたり話を聞いて頂けたので、満足して家路に着いた事を今でも覚えている。
3. 最後に
以上甚だ乱文ながら、簡単に自分の体験を記させて頂いた。最後に一つ付け加えたいのは、国際機関が如何に多様な人材を必要としているかという事だ。UNDPも開発の専門家ばかりを求めてはいない。開発を中心とするのは当然ながら組織の活力ある発展には、コミュニケーション、人事、財務、経営管理、IT、法律、渉外等々、実に多様なバックグラウンドを持つ人々が求められる。私の同僚のバックグラウンドも、コミュニケーション、法律、マーケティング、人事など実に様々である。
また、ミッド・キャリアの採用には、これらへの積極的な貢献も求められているに違いない。採用ミッションのタイミングや状況により求められる人材は変わるかもしれないが、国際機関や開発に興味のある方には狭い意味での専門性にとらわれることなく、積極的に自分の「持ち味」をアピールして頂きたいと思う。国際機関の採用プロセスは時間がかかり、一度で上手く行く事の方が少ないかもしれないが、国際機関人事センターの皆様からアドバイスを頂きつつ努力を続ければ機会は巡って来ると確信している。
(注)掲載されている内容は筆者の個人的見解であり、UNDPとしての見解を示したものではありません。
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